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中小企業のためのBCP(事業継続計画)

9月16日
読了時間: 7分

緊急事態から会社・社員・取引を守る7つのポイント



地震、台風、豪雨、大雪などの自然災害だけでなく、感染症、火災、停電、設備故障、サイバー攻撃、取引先からの供給停止など、企業の事業を中断させる原因は数多くあります。


こうした緊急事態が発生した際に、社員の安全を確保し、重要な業務をできるだけ継続し、停止した場合も早期に再開するための計画が、BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)です。


中小企業では、「大企業が作るもの」「作成に時間と費用がかかる」と考えられることがあります。


しかし、人員、資金、拠点、取引先などが限られている中小企業ほど、一つの事故や災害による影響が会社全体へ広がりやすいため、事前の備えが重要です。


BCPは、すべての災害を予測して分厚い計画書を作るものではありません。


自社にとって重要な事業と経営資源を明らかにし、緊急時に誰が何を判断し、どのように事業を継続・復旧するかを決める経営計画です。


ここでは、中小企業がBCPを導入する際に確認したい7つのポイントをご紹介します。



1.自社で起こり得る危機を洗い出す


最初に、自社の事業を止める可能性がある出来事を整理します。


・地震、台風、豪雨、大雪などの自然災害・火災、停電、断水、通信障害・感染症や集団的な体調不良・設備や車両の故障・サイバー攻撃やシステム障害・重要なデータの消失・原材料や商品の供給停止・主要取引先の事業停止・経営者や重要な社員の不在

地域、業種、設備、取引形態によって、想定すべき危機は異なります。


すべての危機へ同じように備えるのではなく、発生する可能性と、発生した場合の影響を比較し、自社にとって優先度の高いものから対策します。


2.最優先で守る事業を決める


緊急時には、通常どおりすべての業務を続けることが難しくなる場合があります。

そのため、会社の存続、顧客、社員、地域社会への影響を考え、最優先で継続・復旧させる事業を決めます。


例えば、次のような視点で検討します。


・停止すると人命や安全に影響する業務・売上や資金繰りへの影響が大きい業務・主要顧客との契約に関わる業務・社会的な供給責任がある商品やサービス・再開が遅れると顧客を失う可能性が高い業務

重要業務を決めたら、どれくらいの時間まで停止を許容できるか、最低限どの程度の水準で再開する必要があるかを設定します。


優先順位が明確であれば、限られた人員や資金を重要な業務へ集中できます。


3.重要業務に必要な経営資源を確認する


重要な業務を続けるために必要なものを整理します。


・経営者、責任者、専門技術を持つ社員・事務所、工場、店舗、倉庫・機械、設備、車両・パソコン、サーバー、通信回線・顧客情報、契約書、設計図、業務データ・原材料、商品、部品・仕入先、外注先、物流会社・電気、水道、燃料、インターネット

どれか一つが使えなくなった場合に、重要業務を継続できるかを確認します。


代わりの社員、設備、場所、仕入先、通信方法などをあらかじめ検討し、一つの経営資源だけに依存する状態を減らすことが大切です。


4.緊急時の判断者と連絡方法を決める


災害や事故が起きた際に、最初の判断が遅れると被害が拡大する可能性があります。

まず、社員と来訪者の安全確保、救急・消防への連絡、被害状況の確認など、初動対応を決めます。


そのうえで、次の内容を明確にします。


・誰が緊急対応を指揮するか・経営者が対応できない場合に誰が代行するか・社員の安否をどの方法で確認するか・顧客、取引先、金融機関へ誰が連絡するか・事業の停止や再開を誰が判断するか・どこに情報を集約するか

電話がつながらない場合に備えて、メール、チャット、災害用伝言サービスなど、複数の連絡手段を用意します。


緊急連絡網は、社員の入退社や連絡先の変更に合わせて更新する必要があります。


5.代替手段とバックアップを準備する


BCPでは、通常の設備や方法が使えない状況を想定します。

事務所が使えない場合の代替場所、システムが停止した場合の手作業、主要な仕入先から調達できない場合の代替先などを検討します。


データについては、社内のパソコンやサーバーと同じ場所にバックアップを保管しているだけでは、災害やサイバー攻撃で同時に失う可能性があります。


重要なデータを特定し、異なる場所や適切に管理されたクラウドサービスなどへバックアップします。また、保存するだけでなく、実際に復元できるかを定期的に確認します。


代替手段をすべて自社で用意することが難しい場合は、同業者、取引先、地域企業などとの相互協力も検討します。


6.取引先と資金への影響を考える


事業が停止すると、売上が減少する一方で、給与、家賃、借入金返済、リース料などの支払いが続く場合があります。


緊急時に必要となる資金と、どれくらいの期間事業を維持できるかを確認します。

保険の補償内容、利用できる融資制度、金融機関や保険会社の連絡先も整理しておきます。

また、主要顧客や仕入先が停止した場合の影響も確認します。


自社だけが稼働できても、原材料が届かない、物流が止まる、顧客が受け入れられないといった理由で事業を継続できないことがあります。


取引先と緊急時の連絡方法や代替対応を事前に確認することは、サプライチェーン全体の強化にもつながります。


7.訓練と見直しを続ける


BCPは、計画書を作成して保管するだけでは、緊急時に機能しません。


社員への説明、安否確認訓練、データ復旧訓練、緊急連絡訓練などを行い、実際に動けるかを確認します。


例えば、「本社が一週間使用できない」「サーバーが停止した」「社長と担当責任者へ連絡できない」といった状況を設定し、対応を話し合う机上訓練も有効です。


訓練を行うと、連絡先が古い、代行者が決まっていない、必要な情報へアクセスできないなど、計画上の問題が見つかります。


組織変更、事業所移転、設備更新、新規事業、主要取引先の変更などがあった場合も、BCPを見直します。


計画、訓練、評価、改善を繰り返すことで、実際に使えるBCPになります。


BCPは会社の経営力を高める


BCPは、万一の災害に備えるだけの計画ではありません。


自社の重要事業、業務の優先順位、特定の社員や取引先への依存、データ管理、資金面の弱点などを把握する機会になります。


日常業務の改善、業務の標準化、組織づくり、取引先からの信頼向上にもつながります。


中小企業庁では、中小企業が策定した防災・減災の事前対策を「事業継続力強化計画」として認定する制度を設けています。認定を受けた事業者は、条件に応じて税制措置、金融支援、補助金の加点などの支援措置を活用できる場合があります。


ただし、認定を受けることだけを目的にするのではなく、自社で本当に実行できる計画を作ることが重要です。


PanPropのBCP導入・運用支援


PanProp株式会社では、中小企業の事業内容、組織、拠点、取引先、設備、情報システムなどを確認し、会社の実情に合ったBCPの導入を支援します。


主な支援内容は次のとおりです。


・事業を取り巻くリスクの洗い出し・重要業務と復旧優先順位の整理・必要な人員、設備、情報、取引先の確認・緊急時の対応体制と役割分担の策定・安否確認、連絡、顧客対応の手順づくり・代替拠点、代替業務、バックアップ方法の検討・BCP文書、チェックリスト、連絡網の整備・社内説明、机上訓練、定期的な見直し支援・事業継続力強化計画の作成に向けた整理支援


最初から大規模で複雑な計画を作るのではなく、重要な業務と緊急時の初動対応から整理し、会社の規模や体制に応じて段階的に整備します。


防災、情報セキュリティ、法務、保険などの専門的な判断が必要な場合は、必要に応じて適切な専門家や事業者との連携も検討します。


「BCPを作りたいが何から始めればよいか分からない」「以前作成した計画が現在の事業に合っていない」「取引先からBCPの提出を求められた」といった段階からご相談いただけます。


まずは、停止すると会社への影響が最も大きい業務を確認することから始めます。


参考情報

・中小企業庁「中小企業BCP策定運用指針」https://www.chusho.meti.go.jp/bcp/

・中小企業庁「事業継続力強化計画」https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/antei/bousai/keizokuryoku.html

・内閣府「事業継続ガイドライン」https://www.bousai.go.jp/kyoiku/kigyou/pdf/guideline202303.pdf

・IPA「インシデントによる被害に備えた事業継続・復旧体制の整備」https://www.ipa.go.jp/security/economics/practices_navi/practice233.html





 
 
 

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